大腸内視鏡検査で見つかる主な疾患
大腸ポリープ
大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の粘膜に発生する隆起性の病変です。
形状や大きさはさまざまで、小さいものは1mm程度、大きいものでは数cmに達することもあります。
ポリープの種類
大腸ポリープは、大きく「非腫瘍性ポリープ」と「腫瘍性ポリープ」の2種類に分類されます。
非腫瘍性ポリープ
炎症性や過形成性が含まれ、悪性化する可能性は低いです。
腫瘍性ポリープ
腺腫やがんを含み、特に腺腫は大腸ポリープ全体の約8割を占めます。
一部の腺腫は悪性化し、大腸がんに進展する可能性があるため注意が必要です。
大腸ポリープの症状
小さなポリープは無症状であることが多いですが、大きくなると以下のような症状がみられることがあります。
- 血便
- 腹痛
- 腸閉塞
- 貧血
多くの場合、健康診断や便潜血検査で偶然発見されます。
発生しやすい人と予防
以下の要因は、大腸ポリープの発生リスクを高めるとされています。
- 高カロリー食、赤身肉や加工肉の過剰摂取
- 喫煙および過度の飲酒
- 家族に大腸がんの既往歴がある
一方、食物繊維を多く含む食品を摂取することで、ポリープの予防が期待できます。
特に50歳以上の方や家族に大腸がんの既往歴がある方は、定期的な大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
早期発見と適切な治療が、大腸がんのリスク低減につながります。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(IBS)は、大腸に目に見える異常がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、膨満感などの症状が長期間続く病気です。
特に20~40代の方に多く、日本では約10~15%の人が発症しているといわれます。
過敏性腸症候群の症状
主な症状は腹痛と便通異常で、下痢と便秘を交互に繰り返すことがあります。
また、排便後に痛みが軽くなることが多いのも特徴です。
「お腹が鳴る」「ガスが溜まる」といった不快感が日常生活に影響を及ぼす場合もあります。
過敏性腸症候群の原因と診断
明確な原因は特定されていませんが、腸の運動異常や知覚過敏、ストレス、自律神経の乱れが関係していると考えられています。
診断には、大腸カメラや血液検査を行い、炎症性腸疾患や腫瘍など他の疾患を除外することが重要です。
過敏性腸症候群の治療と対策
過敏性腸症候群の治療は、ストレス管理や生活習慣の改善が基本となります。
症状が強い場合は、腸の運動を調整する薬や腹痛を軽減する薬を使用することがあります。
適切な診断とケアを行うことで、多くの場合、症状の軽減が期待できます。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
炎症性腸疾患とは
炎症性腸疾患(IBD)は、腸に慢性的な炎症を引き起こす病気で、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つが代表的です。
これらの疾患は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患で、国の指定難病に認定されています。
潰瘍性大腸炎の特徴
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、持続的な下痢や血便を引き起こす病気です。
原因は明確ではありませんが、免疫異常やストレスが関係していると考えられています。
クローン病の特徴
クローン病は、口から肛門までの消化管のどの部分にも炎症が起こり得る病気です。
腸管全層に炎症が広がるため、狭窄やろう孔(腸と腸がつながる状態)が発生することがあります。
原因は不明で、根治治療は存在しませんが、症状を抑える治療が中心となります。
炎症性腸疾患の診断と治療
炎症性腸疾患の診断には、大腸カメラやレントゲン検査で炎症の範囲や程度を確認し、潰瘍性大腸炎とクローン病を区別します。
治療は、炎症を抑える薬物療法や食事療法を中心に行い、症状のコントロールを目指します。
適切な治療と継続的なケアにより、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
便秘
便秘とは
便秘は、便通が3日以上ない状態や、便が硬くなり排便が困難になる状態を指します。
特に女性に多く見られ、腹痛や膨満感、肌荒れ、食欲不振など、全身の不調を引き起こす場合もあります。
便秘の種類
便秘には、原因や特徴に応じて以下のタイプがあります。
機能性便秘
運動不足やストレスなど、生活習慣が原因となるもの。
器質性便秘
大腸がんや腸の癒着など、物理的な要因が原因のもの。
症候性便秘
糖尿病や甲状腺疾患など、全身疾患に伴って起きるもの。
薬剤性便秘
薬の副作用が原因となるもの。
便秘の治療と対策
便秘の改善には、生活習慣の見直しが基本です。
- 食物繊維を多く含む食品を摂取する。
- 適度な運動を習慣づける。
- 水分を十分に補給する。
これらを試しても改善しない場合や、症状が1週間以上続く場合、または重い症状がある場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。