肝臓外来
肝臓外来について
肝臓外来では、B型肝炎やC型肝炎、アルコール性・非アルコール性脂肪肝をはじめとする肝疾患に対し、肝臓専門医が診療を行います。
当院は、B型肝炎の治療薬「核酸アナログ製剤」や、C型肝炎の治療薬「インターフェロン」「インターフェロンフリー（DAAs）」を使用できる指定医療機関です。
診断から治療、経過観察まで、一貫したサポートを提供しています。
近年、脂肪肝から肝がんへ進行するケースが増えており、早期発見と適切な治療の重要性が高まっています。
当院では、健康診断での肝機能異常の精密検査、脂肪肝の早期発見、生活指導、肝炎ウイルスや肝硬変の検査・治療、さらには肝がんの診療まで幅広く対応しております。
肝臓の健康状態が気になる方や、健康診断で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
肝臓外来で対応している症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行するまで自覚症状が現れにくいのが特徴です。
そのため、以下のような症状がみられる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 黄疸（目や肌が黄色くなる）
- 腹水（お腹が膨れてくる）
- 倦怠感や体調の不調
また、以下のような方は脂肪肝のリスクが高いため、定期的な健康診断や人間ドックでの採血検査やエコー検査を受けることをおすすめします。
- アルコールを多く摂取している
- 糖尿病がある
- 脂質異常症と診断されている
肝臓の健康状態を把握することで、病気の早期発見や適切な治療につなげることができます。
気になることがあれば、ぜひご相談ください。
主な肝疾患と特徴
脂肪肝（非アルコール性脂肪性肝疾患：NAFLD）
脂肪肝とは
脂肪肝は肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態で、アルコール摂取が原因となるものと、それ以外の非アルコール性のものに分けられます。
特に、非アルコール性脂肪性肝疾患（NAFLD）は肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などと強い関連があり、日本での有病率は約9～30％とされています。
症状が進行すると脂肪肝炎（NASH）を経て、肝硬変や肝がんへ進行することがあるため、定期的な検査と生活習慣の改善が非常に重要です。
診断方法
血液検査、腹部エコー（肝臓の輝度上昇や血管の不明瞭化がみられる）
治療
運動療法や生活習慣の改善、基礎疾患（糖尿病や脂質異常症）の治療
アルコール性肝障害
アルコール性肝障害とは
過度なアルコール摂取により脂肪肝、肝炎、肝硬変と進行する疾患です。
エタノール換算で男性は60g/日以上、女性は40g/日以上のアルコール摂取がリスクとされています。
目安
| 男性の場合 | ビール1,500ml以上、 日本酒3合以上 |
|---|---|
| 女性の場合 | ビール1,000ml以上、 日本酒2合以上 |
治療
基本は節酒や禁酒です。
症状が進行している場合は、専門医療機関と連携しながらの治療が必要です。
C型肝炎
C型肝炎とは
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんの原因となります。
日本では約150万人が感染しているとされ、肝がんの主な原因の一つとなっています。
感染経路
汚染された注射器や医療行為、ピアスの穴開け、母子感染など治療
近年は内服薬による治療が一般的で、8週間の治療で95%以上の確率でウイルスを排除することが可能です。
B型肝炎
B型肝炎とは
B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染し、慢性肝炎から肝硬変や肝がんへ進行することがあります。
日本国内では約130万人が感染していると推定されています。
感染経路
母子感染、性行為、不衛生な医療器具の使用など
治療
インターフェロンや核酸アナログ製剤を使用し、定期的な採血や画像検査を行います。
肝硬変
肝硬変とは
肝硬変は、慢性肝疾患が進行して肝臓の組織が線維化し、正常な機能を失った状態です。
肝硬変は症状の有無によって「代償性（症状がない）」と「非代償性（症状が現れる）」に分類されます。
原因
B型・C型肝炎やアルコール性肝障害が主な原因ですが、近年ではNASH（非アルコール性脂肪性肝炎）が原因となるケースも増えています。
診断方法
血液検査、腹部エコー、肝生検など
治療
栄養療法や生活指導が中心ですが、進行度によっては肝移植が選択される場合もあります。
肝臓がん
肝臓がんとは
肝臓がんは、肝臓そのものに発生する「原発性肝がん（肝細胞がんなど）」と、他の部位から転移してきた「転移性肝がん」に分類されます。
原発性肝がんの85％はB型・C型肝炎ウイルス感染に関連しているとされています。
早期発見のため、定期的な画像検査が重要です。
診断方法
エコー検査、CT、MRI、血液検査（腫瘍マーカー：AFP、PIVKA-Ⅱなど）
治療
腫瘍の大きさや数によって、焼灼療法、外科的切除、塞栓療法、動注療法、抗がん剤治療などを選択します。
当院で行っている検査
当院では、肝臓の状態を詳しく調べるため、次のような検査を実施しています。
それぞれの症状や状況に応じて、最適な検査をご提案します。
血液検査
肝機能の状態やウイルス感染の有無を調べるために実施します。
また、炎症の程度や肝細胞のダメージの有無を把握するためにも、定期的な検査が重要です。
腹部超音波検査（エコー）
肝臓の形や大きさ、内部の状態を確認する検査です。
慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝、肝がんなど、さまざまな肝疾患の診断に役立ちます。
非侵襲的で負担が少なく、肝臓の基本的な検査として広く行われています。
肝生検
肝臓に細い針を刺して組織を採取し、炎症や線維化、腫瘍の有無を詳しく調べる検査です。
より精密な診断が必要な場合に行います。
肝生検が必要な際には、近隣の専門医療機関をご紹介する場合があります。
CT・MRI
超音波検査だけでは診断が難しい場合や、より詳細な診断が必要な場合には、近隣の医療施設でCTやMRI検査を実施します。
これらの画像検査により、肝臓の内部の構造や腫瘍の性質を詳しく確認することができます。
