
肝臓外来
ポリープがあると言われると、びっくりされる方、不安になる方、切除してほしいと思われる方が多いと思います。大腸ポリープは切除することが多いですが、胃ポリープを切除することは稀であり、以前言われたことがあるけど取らなくていいと言われた方が多いのではないでしょうか。ということで今回は胃ポリープについて説明していこうと思います。
まず、胃ポリープとは胃内の限局性隆起性病変の総称であり、通常は腫瘍性病変(腺腫、がん、粘膜下腫瘍など)は含めません。一般的には過形成性ポリープと胃底腺ポリープの2つが多くを占めており、実臨床でもよく見る病変です。
過形成性ポリープ
過形成性ポリープは赤いことが多く、サイズや個数は様々で大きいものが1個のこともあれば、小さなものが多発することもあります。ヘリコバクター・ピロリ感染による萎縮性胃炎に発生し、ピロリ菌を治療すると小さくなったり消失することがあります。大きくなるとがんが合併することが稀にあることと、出血することがあるので貧血の原因となることがあります(特に血液サラサラの薬を内服している方)。基本的にピロリ菌の現感染か既往感染のことが多いことと、がんの合併もあるので定期的な経過観察が必要となります。
胃底腺ポリープ
胃底腺ポリープは白色か周囲粘膜と同じ色のことが多く、サイズは2~3mmくらいの小さいものが多いです。胃の襞があるところや胃の上の部分にできることが多く、ピロリ未感染のきれいな胃にできます。がん化の報告はありますが、可能性は極めて低く基本的に経過観察となります(毎年の定期検査の必要はありませんが、5年以上検査していない方は検査をご検討ください)。胃カメラのときに心配しなくていいポリープと言われたときは胃底腺ポリープのことが多いです。時折、胃薬(プロトンポンプ阻害薬)を内服中の方はポリープが大きくなったり、数が増えたりすることがあります。
ポリープ切除の適応について
過形成性ポリープは基本的に経過観察することが多いですが、増大傾向であったり、がんの合併の可能性があったり、出血のため貧血の原因となるときには切除することがあります。血液サラサラの薬を飲んでいる方は出血しやすく、貧血を呈することがあり、切除した方がいいときもありますが、切除による出血のリスクも高くなるため状況に合わせた対応が必要となります。胃底腺ポリープは原則治療の必要はありません。
胃ポリープがある方がバリウム検査(胃透視)を行うと精密検査になることがあります。事前に胃ポリープがあるとわかっている方は、バリウム検査ではなく胃カメラでの検査を行うと二度手間にならないと思われます。また、胃ポリープがある方は、どちらのポリープを持っているかを確認しておくことで今後の検査をスムーズに行えますので覚えておくといいかもしれません。
当院では内視鏡専門医による胃カメラを行っています。鎮静剤を使用しますので、苦痛の少ない検査を心掛けております。また、ピロリ菌の検査・治療も行っていますので、ご希望の方はこちらからWEB予約ができます。