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胃腸科・消化器内科

機能性ディスペプシア(FD)の方は意外と多いんです

前回機能性消化管障害を取り上げましたので、その代表疾患である機能性ディスペプシアを取り上げます。

当院で行っている鍼灸も効果があることがありますので、興味がある方はご相談ください。

機能性ディスペプシアは英語ではfunctional dyspepsia (FD)となります。

胃が痛い、胃もたれがする、お腹が張るなどの症状は、皆さん一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

通常は一過性に良くなることが多いので、わざわざ病院を受診することは少ないと思いますが、中には症状が長期間続いたり、出たり治まったりを繰り返す方がおられます。

わかりやすい原因として逆流性食道炎や胃潰瘍などがありますが、胃カメラをしても異常がないこともあり、このようなときはFDの可能性があります。

FDの定義は以下になります。

症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患

簡単な概要

機能性ディスペプシア

みなさんには馴染みがないかもしれませんが、FDは病院にかかった人の半分くらいに見つかる病気と言われており、実はありふれた病気なのです。

腹痛、便秘・下痢が持続する病気である過敏性腸症候群(IBS)は聞いたことがあると思いますが、IBSに似た疾患であり、上部消化管バージョンでしょうか。

ちなみにIBSに関してはブログ:過敏性腸症候群を参照ください。

どんな人がなりやすいか

FDにはなりやすい人がいると報告されていますが、一定の見解は得られていません。

・年齢が若い方

・女性

・感染性腸炎が治った後

・遺伝的要因

・幼少期の虐待

FDの原因

FDのとしては主に胃・十二指腸の運動機能異常と内臓知覚過敏によってもたらされると考えられていますが、その原因としては様々な因子が複合的に関与しているとされています。

運動機能異常

胃の動きや膨らみが悪いため、食べ物が胃の中に残り、胃もたれや膨満感を感じます。

内臓知覚過敏

FDの方は健常者より少ない刺激で症状がでてしまいます。胃酸・脂肪の刺激や胃のふくらみに対して過敏になり、痛みや不快感を生じやすくなっています。

運動機能異常と内臓知覚過敏を引き起こす大きな要因として脳腸相関のシステムが関与していると言われます。

消化管の働きや知覚には脳からの信号が必要で、信号を伝達するのは自律神経系や内分泌系(ホルモン)です。

この脳腸相関に影響を与える因子として、心理的要因、社会的要因、環境因子、遺伝因子などがあり、当院外来では心理的要因社会的要因が原因の方が多いように思います。

 心理的因子:不安が強い、鬱傾向がある、心配性、

 社会的因子:生活上のストレス、幼児期の虐待など

 環境因子:喫煙、アルコール、睡眠などの生活習慣の乱れ

FD脳腸相関図

FDの検査

診断には以下の検査を行います。

 胃カメラ:胃潰瘍・がん、逆流性食道炎などの器質的疾患の除外

 ピロリ菌検査:ピロリ菌感染があるとFDではなく、ピロリ関連ディスペプシアになる

 採血:貧血、炎症、肝胆道系酵素等の異常の確認

 エコー、CT:症状や採血で器質的疾患が否定できないときに行う

ガイドライン上、胃カメラは必須ではないとされていますが、器質的疾患が隠れていることもありますので、基本的には行います。

FDの治療

治療としては胃酸分泌抑制薬消化管運動改善薬が第一選択となっており、それでも効果が十分でない場合は抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬、鍼灸などを追加します。

胃の運動機能異常には胃酸と胃の動きが関係しています。胃酸によって痛みや吐き気が起こったりしますので、胃酸分泌抑制薬を使用します。胃の動きが悪いと、食べ物を腸まで運びにくくなり、胃の中に食べ物が残ったりすると胃もたれ、膨満感、吐き気などを引き起こしますので、消化管運動改善薬を使用します。

内臓知覚過敏に対しての治療は難しいのですが、抗不安薬や抗うつ薬は効果があることがありますし、心理的要因に対しての治療となりますので、症状が緩和されることもあります。また、漢方薬や鍼灸に胃の動きを改善したり、食欲を増加させる作用がありますので使用することもあります。

しかし、FDは様々な要因が関係していますので、完全に症状が治るかどうかはわかりませんし、再発することもあります。また、ストレスや環境によっても変わりますので、焦らず長い目で見ることも重要かと思います。なかなか治らないと患者さまは不安になってきますが、検査をして異常がないことを確認していますので、がんなどの命にかかわる病気は無いことをきちんと認識してもらうことが不安を取り除き、心の安定をもたらしますので大事になってきます。

FDの方は胃食道逆流症や過敏性腸症候群や慢性便秘を合併しやすいと言われていますし、その他の病気が隠れていることもありますので、一回の検査で異常がなくても、定期的に検査を行うことが必要です

長々と解説しましたが、FD治療の難しいところは患者様によって原因がまちまちなので、その患者様にあった治療法を見つけていく必要があります。よって治療が長期になることもあり、医師と患者様との信頼関係が大事になってきます。当院では胃腸科・消化器外来を行っており、患者様一人一人に最適な治療法を心掛けておりますので、ご希望の方は当院へご相談ください。

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