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内視鏡

大腸がん検診

日本では食生活の欧米化などの原因もあり、大腸がんは死亡率、罹患率ともに増加傾向にあります。

がんの種別ごとの死亡数をみると、2021年のデータでは大腸がんは男性では2位、女性では1位と報告されています。

大腸がん自体は早期治療をすることができれば、治る可能性が高いがんの一つとなっており、早期のうちに発見することができれば死亡率を下げることができると考えられています。

大腸癌 年次推移表

大腸がんは早期の段階では症状がほとんどありませんので、自分で自覚することは難しいとされています。そこで早期発見するためのツールとして、大腸がん検診があります。

検診で発見された大腸がんの約60%が早期がんであったのに対し、症状があり病院を受診して発見された大腸がんの約80%が進行がんであったとのデータがありますので、検診を受けることがいかに重要かがわかると思います。

検診時期は、早ければ早いほどいいと考えますが、目安としては50歳以上から徐々に大腸がんによる死亡率が上がっていきますので、それ以前に検査を行った方がいいことになります。厚生労働省は男女ともに40歳以上を対象としております。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス

大腸がん検診には、個人の希望で行う「任意型大腸がん検診」と市町村の自治体や職場が主体となって行う「対策型大腸がん検診」があります。

 <任意型大腸がん検診>

全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、S状結腸内視鏡検査、便潜血+S状結腸内視鏡、注腸X線検査などがあります。

全大腸内視鏡検査は内視鏡ですべての大腸を観察しますので、病気をみつける精度としては一番高くなります。しかし、食事制限や大量の下剤を内服しないといけなかったり、ほとんどありませんが検査の合併症のリスクもありますので、負担のかかる検査になります。

S状結腸内視鏡は、検査前に浣腸を行うことが多いと思います。全大腸内視鏡検査と比べ負担は少ないですが、見える範囲(だいたいS状結腸くらいまで)の検査となることがデメリットとなります。

注腸X線検査はバリウムによる検査になり、内視鏡を使用しないことで負担が軽くなりますが、直接みる内視鏡検査に比べ精度が劣ります。

以上のようにそれぞれの検査でメリット、デメリットがあります。また、検査にかかる時間や出来る施設も限られますので事前に確認しておくといいと思います

 <対策型大腸がん検診>

まず便潜血検査を行い、陽性になると精密検査が必要となります。精密検査では全大腸内視鏡検査を行いますが、内視鏡検査ができない方は注腸X線検査や大腸CT、大腸カプセル内視鏡検査を行うこともあります。

熊本市では「対策型検診」として、胃がん検診だけではなく大腸がん検診も行っています。

 下記は以前投稿した記事となりますので興味がある方はご覧ください。

 胃がん検診」胃がんリスク検査便潜血検査」

  熊本市大腸がん検診

【対象者】年度内に40歳以上になる方

【検診内容】問診 便潜血検査

【検診会場】指定医療機関 集団検診会場

【料金】指定医療機関:500円  集団検診:300円

大腸がん検診を受けるには

指定医療機関で受ける場合

上記の対象者は指定医療機関でいつでも受けることができます。受付時に「熊本市の大腸がん検診」とお伝えください。当院も指定医療機関となっていますのでお気軽にご相談ください。保険証、運転免許証等の住所・氏名・生年月日がわかるものを持参ください。

集団検診会場で受ける場合

肺がん検診の検診会場で検査容器を配布しています。当日検診場へ行っていだだき、受付を行ってください。保険証、運転免許証等の住所・氏名・生年月日がわかるものを持参ください。

*冬季限定(10月~3月)で郵送による検診も行っているそうです。

大腸がんは早期発見ができれば治せる可能性が高い病気であり、行政も「対策型大腸がん検診」として低価格で便潜血検査が出来るようにシステムづくりをしています。しかし、検診受診率及び精密検査受診率が低いことが課題となっています。40歳以上であれば、働いている方や子育てしている方やご家庭の事情などで、受診する時間がない方が多いのではないでしょうか。職場健診で便潜血検査がある方はいいのですが、ご自分で任意型検診を受ける方は統計的にも多くなく、毎年同じ方が受けていることも多いのが現状です。今まで受けたことがない方に受けてもらうことが最も重要であり、そのような方が多くなるようにこの記事を書かせていただきました。

★ちなみに大腸がんやポリープ切除を行った方には、大腸がんスクリーニング・サーベイランスガイドラインが適応されます。

  • 腺腫:2個以内、advanced adenoma以外 → 3-5年後
  • 腺腫:3-9個、advanced adenoma以外 → 3年後
  • advanced neoplasia、advanced adenomaが10個以上 → 1年後
  • 大腸がん術後 → 1年おき

大腸カメラは時々見落としがあることがありますので、ガイドラインで3年後以降となっている方でも実際は患者さんと相談して2年以内に1回してもらうこともあります。

当院は熊本県の大腸がん検診の指定医療機関になっており、便潜血検査、内視鏡検査(全大腸内視鏡検査、S状結腸内視鏡検査)を行っています。鎮静剤を使用した検査を行っており、苦痛の少ない検査を心掛けております。小さなポリープ対しては日帰りポリープ治療も行っています。

大腸カメラは下剤を服用してもらいますので、事前に診察が必要になります。

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