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内視鏡

便潜血検査

前回、大腸がん検診について説明しましたので、今回は「対策型大腸がん検診」の柱である便潜血検査について説明したいと思います。

便潜血検査は化学的方法と免疫学的方法がありますが、免疫学的方法が主流ですのでこちらについて説明します。

便潜血検査とは(免疫法)

便を採取するだけの検査なので、体に侵襲がない検査になります。大腸がんの多くは出血を伴いますので、便中に血液が混入します。この検査では便に混入した血液を検出し大腸での出血の有無を確認します。

血液と言ってもヒトヘモグロビンに対する抗体を用いて出血の有無を確認する検査なので、ヒト以外の血液には反応しません。また、胃酸や膵液などの消化液によりヒトヘモグロビンは変性しますので、食道・胃などの上部消化管出血も検出できず、下部消化管・大腸の出血を確認することに有用とされております。ですので、便潜血検査は大腸の出血を確認する検査であり、陽性であれば必ず大腸がんがあるわけではありません。

集団検診の報告では,便潜血検査の陽性率は5%前後で,陽性患者の2~3%が大腸カメラにより大腸がんと診断されます。集団検診による大腸がんの発見率は0.1%程度であり、毎年便潜血検査を受けると大腸がん死亡リスクは60~70%減少すると推定されています。便潜血検査による大腸がん検出率は,進行がんで60~75%,早期がんで30~40%ですが、進行がんの約10%、早期がんの約30~50%で陰性となります。大腸がんがあっても陰性となることがあるので、毎年便潜血検査を行うことで陽性となる確率を上げることができます。また、便潜血検査は2日間行うことが多いですが、2日間連続検査法を行うことで10~15%程度検出率が改善するとされています。

進行大腸癌

これは進行大腸がんですが、このように進行がんは特に出血があることが多いので便潜血検査をすることによって大腸がんを発見することができます。

採便方法

専用の検査キットに採便用のスティックがついていますので、便からまんべんなく擦り取ります。

トイレの洗浄や消臭剤が付着すると正確な検査ができませんので注意ください。

室温が高いとヘモグロビンが変性するので冷暗所での保存がいいとされています。採取したら速やかに提出することも大切です。

便潜血検査が陽性となったら

便潜血検査が陽性となったら精密検査を受けることになります。精密検査とは概ね大腸カメラのことを言います。時々精密検査を受けない方もいらっしゃいますので、必ず受けるようにしてください。陽性者の中で大腸がんが発見される確率は約2~3%と言われています。100人受ければ3人にがんが見つかるというのは、一般の方は少ないと感じる方も多いかもしれませんが、我々医療従事者としてはかなり高い確率と思います。大腸がん以外にも、ポリープも見つかることがあります。大きくなるとポリープからがんができることも多いので早期に切除することで大腸がんのリスクが減少します。

当院は熊本県の大腸がん検診の指定医療機関になっており、便潜血検査、全大腸内視鏡検査、S状結腸内視鏡検査を行っています。鎮静剤を使用した検査を行っており、苦痛の少ない検査を心掛けております。小さなポリープ対しては日帰りポリープ治療も行っています。

大腸カメラは下剤を服用してもらいますので、事前に診察が必要になります。

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